What‘s New
2035年に向けての想い
- 私たち、日本企業は総じて社員を本当に大事にしてきただろうか。
- 「人に優しい」との評判は「都市伝説」だったのか。
- 「企業は人なり」「人材は石垣」、わが国には人を大事にする言葉やことわざが色々ある。とはいえ、人材の一人ひとりと向き合い、その価値を見出し、伸ばす経営を実践してきただろうか。
- これまでの人事・人材をめぐる議論は人事部門の世界に終始し過ぎてきたのではなかったか。
- 「管理思考」の議論の域をどれだけ出ていただろうか。
- 経営変革、人材変革、企業文化変革というもっと広い文脈で議論してきただろうか。
- 「経営戦略と人材戦略が同期しているか」。一見当たり前のように実践されていると思っていたことが、実はそうではなかったのではないか。
- 目指すべきビジネスモデルや経営戦略の実現に向けて、多様な個人が活躍する人材ポートフォリオを構築できているか。
- 個々人の多様性が、対話やイノベーション、事業のアウトプット・アウトカムにつながる環境にあるのか(「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」)。
- 多様な個人ひとりひとりや、チーム・組織を活性化し、生産性の向上やイノベーションの創出に取り組めているか。
- 目指すべき将来と現在との間のスキルギャップを埋めるために、戦略的な「リスキル・学び直し」の場や機会を、企業は社員に本気で提供してきただろうか。
- 多様な個人が主体的、意欲的に取り組めているか(「社員エンゲージメント」)。
- 時間や場所にとらわれない働き方を実現できているか。
- 企業としてどこを目指しているのか、何がやりたいのか、そしてその実現に最も大切な人材は、その目指す所、やりたいことにどれだけ共感し、集まってきているのか。
~人材版伊藤レポートより~
(一部加筆しています)
今後も人材確保が大きな経営課題の1つとなる中で、労働市場では、採用プロセスでリモート面接が進み、リモートワークができる企業とそうでない企業との間で、5 倍以上の応募者数の違いが生まれているともいわれています。
本質的な問題は、上記のような課題への抜本的な対応が求められていたにもかかわらず、私たち経営陣がその本格的な着手を先送りにしてきたことです。
私たち企業は、経営戦略やビジネスモデルの変革と同時に、人材に関する戦略の在り方についても見直しを迫られています。今までの延長線上ではなく、過去の成功体験や日本の古い雇用慣行とその仕組み、制度と決別し、私たち経営陣の強い意志で変革を「好機」として捉え進めていかないと、これからは、
「未来を柔軟に創り変えていける企業と、そうでない企業との間には、埋めがたいほどの企業力の差が生ずるだろう」
「変化に対してスピード感をもって対応していく企業と、変化に踏み出せない企業とは、労働市場や資本市場において、差別化されていく可能性が高い」
と言われています。
私たち経営陣は、改めて企業理念や存在意義(パーパス)まで立ち戻り、持続的な企業価値の向上に向け、企業の競争優位を支え、イノベーションを通じて新たな市場を創造・獲得する上での原動力となる人材の確保・育成、イノベーションを生み出す環境の整備といった人材戦略を変革させる必要があり、スピーディーな対応が不可欠です。
しかし、問題を受け止めただけでは、人材価値は高まらないし、企業価値も高まりません。企業の競争優位を支え、イノベーションを生み出すことを通じた持続的な企業価値の向上や経済成長を支える原動力は「人」でありますが、その人材に関する取り組みは、息の長いものとなります。その意味でも、最初から「100 点」の結果を生むことはありません。
人材は「管理」の対象ではなく、その価値が伸び縮みする「資本」です。私たち企業側が適切な機会や環境を提供すれば人材価値は上昇し、放置すれば価値が縮減してしまいます。人材の潜在力を見出し、活かし、育成するところから一緒に始めていきませんか。