【Vol.201】 SDGs × ドラッカー経営
日本における取り組みが1年ほど出遅れたと、
そう言われているSDGsですが、
経団連のメンバーになっている企業を中心に、
SDGsへの取り組みが進みつつあります。
実際、CSR活動の一貫として、その取り組みを
PRし始めた企業も見受けられるようになってきました。
SDGsとは、2015年9月に、国連で採択された
持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)のことです。
2030年までの未来に向けたその国際目標には、
「我々の世界を変革する」という強い言葉が添えられており、
17の目標と169のターゲットがあります。
SDGsは、誰も置き去りにすることなく、
あらゆる形態の貧困に終止符を打つことを目指しています。
さらに、不平等と闘い、気候変動に対処し、
地球を守るために、私たち国際社会が協力して
グローバルな諸問題の解決に取り組むことを
求められています。
この目標達成に向けて、各国が積極的に取り組むことを
コミットしていますが、政府だけでなく、
地方自治体や企業、諸団体、そして市民一人ひとりにも
役割があり、それぞれが協力、連携しあうことが
求められています。
169のターゲットは、今後、変化が起きる領域でもあり、
ビジネスにおいても新たな需要があるとも言えます。
また、2030年の未来像と今のギャップを埋めるために
イノベーションが必要になると、そう言われています。
そういう意味において、ビジネスの世界では、
新たなビジネスチャンスを獲得し、
持続可能性を追求するためのツールとして、
SDGsの活用が注目を集めており、
ビジネスの世界での共通言語になりつつあります。
なぜ、私たち民間企業がSDGsに取り組まないといけないのか?
1つの側面として、パートナーシップで解決することを
奨励されているという理由があります。
例えば、SDGsに取り組むグローバル企業においては、
そのサプライチェーンに関係する
すべてのステークホルダーにも取り組みを
求められるようになってきていると言われています。
具体的に言うと、大企業や自治体も、
商品・サービスや価格のみでは発注、調達先を
決められなくなり、中小企業も今の調達先、取引先から
対応を求められるようになってくると思われます。
そういう意味において、今後は、SDGsへの対応が
ビジネスにおける取引条件になる可能性もあり、
私たちにとっても持続可能な経営をおこなうための
戦略になってきます。
投資家や大手メガバンクもSDGsに取り組み始めており、
収益だけではなく、SDGsに取り組んでいる企業かどうか、
それが投資の条件として見られる時代になってきており、
地銀や信金にも、その取り組みが進みつつあると言われています。
取引をされなくなるという、そういった経営リスクを
回避するとともに、SDGsへの取り組みは、
社会へのさらなる貢献であり、
世界や地域での信頼を得る手段にもなります。
企業イメージの向上にもつながるため、
そういう意味においても積極的に関与する大手企業が
増えてきているように感じます。
ここで、あらためて、確認をしていただきたいのですが、
私たち経営者の3つの役割とは、
自らの組織に特有の使命を果たすこと。
仕事を通じて働く人たちを生かすこと。
自らが社会に与える影響を処理するとともに、
社会の問題について貢献すること。
ピーター.F.ドラッカーは、そのように言っています。
SDGsの目標の背景となっている問題を踏まえ、
自らの組織に特有の使命を果たすこと。
そして、社会の問題にさらなる貢献をしていくこと。
そう考えると、マネジメントの基本と原則は、
決してSDGsと疎遠ではありません。
仕事を通じて働く人たちを生かすことは、
すべての人々の完全かつ生産的な雇用と
働きがいのある人間らしい雇用を促進するという、
まさに開発目標8のディーセント・ワークに
直結してきます。
よって、このSDGsの取り組みは、政府や地方自治体、
コミュニティの中にいる私たち市民の一人ひとりだけではなく、
営利/非営利問わず、あらゆる組織団体において、
SDGsを意識しながら、ビジネスの機会損失という
経営リスクを回避し、社会的責任を果たしていかないといけません。
そういう新たな世の中の流れが、静かに始まっています。