【Vol.25】 経営者の仕事とは? ②
前回に引き続き、ドラッカーのマネジメントの基本と原則で言われている、
経営者の仕事で大切なこと、残り2つについてお話をさせて頂ければと思います。
2. 昨日を陳腐化させ、明日を創り上げること
昨日を陳腐化させ、明日を創り上げるとは、どういうことかと言うと、
ピーター.F.ドラッカーは、次のように言っています。
「経営者の仕事とは、組織の資源と労力を、最大の機会、最大の成果が上がる分野に適切に配分することである」
昨日を陳腐化させるとは、採算が合わない、あるいは、合わなくなってきている事業を見直し、
古い事業をやめるという決断です。
経営者が、古い事業をやめる意思決定をできるかどうか?
それが問われます。
昨日を陳腐化させ、明日を創り上げることというのは、前回もお話をさせていただきました、
古いものを廃棄して、新しいものを取り入れることであり、これは、まさに体系的廃棄と
イノベーションを起こしていくということでもあります。
例えば、GEが昨年9月に家電部門をスウェーデンの企業に売却をしたり、
IBMが収益率の低いハードウェア部門をレノボに売却したり、
先週、日立製作所が、
「1万2千人強いる機器分野の社員から、協力会社も含め2千人規模を成長が期待できるサービス分野などに移す」
「選択と集中を進め、将来は機器事業の売却も視野に入れる」 (2015年6月12日 日本経済新聞より)
これらが、まさに昨日を陳腐化させ、明日を創り上げる取り組みの
わかりやすい事例だと思います。新聞やニュースを通じて、大手企業の動きを見ていると、
とても参考になるし、わかりやすいかもしれません。
大手企業は巨艦なので、ここで方向転換をしたいと思っても、すぐには舵の切り直しができません。
走り出したら、方向を変えるにも、止まるにも、多くの時間がかかります。
それに比べると、私たち中小企業というのは、意思決定のスピードが速く、
方向転換の舵取りもすみやかに行え、小回りがきくというのは、最大のメリットであるのかもしれません。
3. 人の強みを発揮させ、弱みを無意味なものにし、人が共同で成果をあげられるようにすること
例えば、以下のようにAさん、Bさんがいるとします。
Aさん 強み 10 弱み -5 = 5
Bさん 強み 20 弱み -10 = 10
ばらばらに働くと、組織においては15の力しか発揮がされません。
人の強みを発揮させ、弱みを無意味なものにするというのは、
Aさんの10の強みでBさんの弱み -10をカバーし、
Bさんの20の強みでAさんの弱み -5をカバーし、
組織の中で30の力を発揮していくということです。
強みを伸ばして、弱みを見えなくすること。私たち経営者や経営管理者(組織のリーダー)は、
常に強みを考えないといけません。そして、全員を貢献者にすること。
「マーケティングとイノベーションによって顧客を創造すること」を含め、
これらが経営者としての大切な仕事であり、トップマネジメントチームと共に
取り組まないといけない大きなテーマでもあります。