【Vol.82】 冨山和彦氏の講演とドラッカー ③
前回に引き続き、冨山氏のお話とドラッカーのマネジメントの基本と原則。
3つ目は、冨山氏のお話にありました、日本の経済を活性化するためには、
地道に生産性を上げて、PDCAをまわすという、個々の企業努力が必要というお話です。
ドラッカーのマネジメントの基本と原則に当てはめると、
「仕事の生産性を高めるには」
というテーマです。
事業における生産性向上の意義について、
ピーター.F.ドラッカーは、次のように述べています。
事業上の目標を達成する能力は、必要な価格で、必要な品質のもとに、
必要な期間内に、しかも必要な柔軟性をもって供給することのできる
生産の能力にかかっている。
組織メンバーに達成意欲をもたせるための第一歩は、
仕事の生産性を上げることである。
では、なぜ生産性を高めることが重要なのか?
1つは、冨山氏のお話にもありましたが、
私たち1社1社が生産性を上げて、地道に企業価値を高める
努力をし続けなければなりません。
そして、生産性を高めることが大切であるもう1つの理由は、
少子高齢化による労働者不足が背景にあります。
仕事があっても、欲しい人材を採用できない、
なかなか人が集まらないという状況がここ近年続いています。
人手不足ですから、生産性を高めるために、今まで3人でやってきた仕事を
2人でまわしていくということを、組織全体で取り組まざるを得ない状況です。
そういう意味において、経営者は、人が集まってくるような、魅力的な
会社創りをしていかないと、新卒採用であろうと、中途採用であろうと、
優秀な人材は来てくれません。つまり、
「あの会社で働きたい!」
「やりがいがあり、楽しそう!」
そのように言ってもらえるぐらい、そのように思ってもらえるぐらい
組織としての魅力と良質な雇用、今はその両方がないと、
人がなかなか来てくれない時代です。
では、実際どのようにして生産性を高めていけばいいのか?
ドラッカーのマネジメントの基本と原則では、
仕事の生産性を向上させる4つのステップがあり、
1. 仕事を分析する
2. 作業をプロセスに統合する
3. 管理手段を決定する
4. 仕事の道具・ツールを提供する
上記の手順で取り組むことにより、組織メンバーの達成意欲を高めていきます。
「この仕事、効率が悪いな・・・」
「この仕事、本当に意味があるのかな・・・無駄では?!」
組織のメンバーが、そのように感じているときこそ、
「本当に必要なのか?」
「本来、何をなすべきなのか?」
私たち、一人ひとりが、真剣に考えないといけません。
そして、私たち、一人ひとりのモチベーションが高くないといけません。
なぜなら、知識社会におけるマネジメント上の課題は、
私たち知識労働者の生産性向上だからです。
私たち、知識労働者は、自由度が高い仕事をしています。
やらなくてもいい仕事があるかもしれません。
生産性を高くするには、やらなくてもいいことをやめること。
ドラッカーのマネジメントの基本と原則では、そのように言われています。