【Vol.157】 副業容認からイノベーション創出にはつながらない
2018年は、副業を容認する大手企業がより増えてくるのかもしれません。
その目的は、社員育成と位置づけているようで、ある役員の方は、
イノベーション創出につなげると、そう考えているようです。
副業の目的を考えた場合、
・他流試合、外の世界でチャレンジし、新たな知識を得たり、
技術を高められ、さまざまな経験値を積む
・人脈を広げる
・モチベーションを高める
・副収入を得られる
上記のようなことが、副業の主な目的と思われます。
副業にチャレンジする経験を通じて、学んだこと、得たことを
本業の仕事に還元していくことはできるかもしれませんが、
個人的には、限定的な取り組みであり、まして、イノベーションに
つなげていくというのは、少し楽観的に捉えているように感じます。
副業であるとしても、好きなこと、やりたいことに
チャレンジしていくということは、大変であったとしても、
組織に勤めて、ルーティンワークをこなすよりも、
やりがいや充実感が感じられ、楽しく、ワクワクするような
気持ちになれます。そして、その楽しくて、ワクワクすることに、
より時間、労力、エネルギーを費やしたいと、そう考える傾向に
なる可能性があるからです。
やりたいこと・好きなことと、やらないといけないこと(義務)
これがイコールな状態で働き、一致していると幸せ。
ドラッカーのマネジメントの基本と原則では、そのように言われています。
実際、ギャラップ社の統計によると、日々やりがいや充実感を感じながら、
積極的に仕事をしている人は、日本において、わずか7%と言われています。
残りの93%は、幸せでも不幸でもないが、やりがいを感じながら、
楽しく仕事をしているわけではなく、変化を嫌い、コンフォートゾーンから
抜け出したくないような人たちになります。
そういう人たちが、副業として、自分の好きなこと、やりたいことを
やり始め、うまくいき始めたら、どうなるか?
私なら、本業の仕事を辞め、副業を軌道に乗せていくことに
時間と労力を費やします。本業はつまらない、制限や束縛が多い、
一方で副業は大変でも、やりがいがあり、楽しい。そう思うからです。
自分はなぜ生まれてきたのか?
何のために生きているのか?
自分の使命にそって、人生を歩み始めると、企業で勤めることが
自分にとって本当に幸せかどうか、自問するようになります。
企業にとって、チャレンジなのは、93%のやる気がない、
変化を嫌う社員を、どう活かしていくか、活性化させていくか。
それが本当の課題であり、組織の規模が大きくなればなるほど、
組織開発が十分できていないように感じます。
そして、イノベーションの創出は、副業にチャレンジする人に
委ねるのではなく、全社的な取り組みにしないといけません。
そのことをわかっていない時点で、その会社の経営者や経営幹部が
イノベーションを学んでいないことがわかります。
そのような大手企業が、日本の縮図なのかもしれません。
だから、日本からなかなかイノベーションが生まれてこないのです。
経営者のマネジメント力向上が重要課題である。
ピーター.F.ドラッカーは、そのように言っています。
日本の大半の企業における本質的な課題は、そこにあります。
マネジメントの基本と原則を学んでいれば、
・生産性を向上させ、企業価値を高めていく
・イノベーションへの取り組み
・働き方改革
・健康経営
・エンゲージメント & インクルージョン
そのようなテーマにも、自分たちで取り組んでいけます。
2018年は組織開発の支援に、より携わりながら、
・健康経営
・働き方改革
・ミッション経営
・イノベーション
そういったテーマのセミナー/講演を広げていきたいと思います。
本年も、どうぞ、宜しくお願い申し上げます。
中平 次郎