【Vol.177】 経営者としてのリーダーシップ
多くの企業再生に携わり、「カリスマ再生請負人」といわれる
経営共創基盤の冨山和彦CEOは、日経新聞 私のリーダー論で
次のように述べています。
「一番の挫折は、自分が創業した会社をリストラしたこと。
再生案件第1号は、自分が創業した会社なんです。
リストラに資金が必要で、頭を下げて、クライアントに
出資してもらってリストラのお金を抽出したんです。
コンサルティング会社が、コンサルしている会社に
出資をしてもらったんです。
非常にみじめな日々でしたよ。
経営者は、頭が良くてもダメなんだと」
その後は、大企業サラリーマン社会を体験し、
ドブ板営業も経験し、営業成績も割と、良かったそうです。
産業再生機構でも、地方の交通会社や旅館など、
都会の高学歴大企業サラリーマンとは全く違う世界で、
懸命に生きている人々と関わり、挫折と修羅場の
多様性と豊富さと深さに恵まれたと言います。
「リーダーは、経済性や競争の合理に強いことだけでは
うまくいきません。人間性の本質への洞察と、
人間の情理にも強くなければ。
人間は、習慣と感情の生き物ですから。
合理と情理の2つを、状況に応じて巧みに擦り合わせれば、
組織のメンバーに大きなストレスのかかることであっても
意思決定ができる。合理と情理を統合した、
高度な判断が必要なんです。」
冨山さんがいう合理とは、
ドラッカーのマネジメントの基本と原則に
照らして考えた場合、
マーケティングとイノベーションによって、顧客を創造する。
昨日を陳腐化させ、明日を創造するといった、
経営者の基本的な仕事をおこない、人の強みを活かして
貢献する組織をつくっていくこと。
ドラッカー5つの質問に答え、生産性を向上させ、
そして、イノベーションにも取り組んでいく。
そして、PDCAをしっかり回していくこと。
そういうふうに捉えることができるかもしれません。
そして情理とは、働く人たちが、貢献できていると思える状態、
仕事の成果から、満足を得られる状態、
自分の使命感を仕事に適応させ、強みを活かして、
楽しく、ワクワクするような気持ちで、日々働ける、
そういった組織文化、風土、環境が整っている状態であり、
働きがいや、やりがい、仕事における充実感を感じながら、
仕事ができること。
多様性(ダイバーシティ)もエンゲージメントもあり、
模範となるリーダーが、たくさんいるようなイメージです。
模範となるのはリーダー自身である。
動機づけを行い、コミュニケーションを図ること。
ピーター.F.ドラッカーは、そのように言っています。
政治の世界、スポーツの世界、ビジネスの世界も同じです。
私たち、組織におけるリーダーは、
リーダーシップを、より一層、高めていかないといけません。