【Vol.62】 事業を決定するのは顧客である
「われわれの事業は何か」を知るための第1歩は、
「顧客は誰か」という問いを発することである。
そして、顧客によって事業が定義される。
前回はそのようなお話をさせて頂きました。
顧客によって事業が定義されるというのはどういうことか?
例えば、ハワイが大好きなAさんと、
インテリア好きなBさんがいたとします。
経営者の方は、顧客をハワイ好きなAさんにするのか、
インテリア好きのBさんにするのかで、提供するものが変わってきます。
Aさんを顧客にすると、ハワイからチョコレートやコーヒー、
飲料水、雑貨などを仕入れ、最新のハワイ情報とともに、
ハワイの食料品雑貨をAさんに提供するかもしれません。
もしBさんを顧客とした場合は、世界各地からユニークな
インテリア用品を仕入れ、Bさんに提供をしようとするかもしれません。
顧客は誰かを明確にすればするほど、何を提供すべきかが見える
ピーター.F.ドラッカーは、そのように言っています。
その時に大切なことは、
わが社の使命と顧客は一致しているか?
ということです。
製薬会社が化粧品会社を買収したが、うまくいかなかったという
失敗例があります。
製薬会社の役員幹部たちは、栄養失調の少女が薬局で、
なぜ口紅を購入するのか、わからなかったそうです。
薬や栄養剤を買うはず、買うべきなのになぜ口紅を買うのか、
その役員幹部たちは、最後まで理解できなかったそうです。
それは、製薬会社にとってのわが社の使命(事業)と
顧客が一致していなかったため、結果、化粧品会社を買収したものの、
化粧品事業をうまくやっていくことができなかった。
そういうことを意味しています。