【Vol.101】 コンビニは世の中をよくできるか ~2016年12月5日 日経新聞~
コンビニの未来の姿を考えてください。
日本経済新聞社が読者や企業トップの皆さんと課題を議論し、
ともに作っていく紙面だそうです。皆さんから優れたアイデアを募集し、
経営者が選んで、紙上の未来面や日経電子版の未来面サイトで
紹介していくという取り組みのようです。
イノベーションで需要創る
そのように話す、セブン&アイ・ホールディングスの井阪社長は、
紙面で次のように述べています。
「読者の皆さんには、この小さな街のお店に、革新的な商品や
サービスなどの新たなアイデアを吹き込んでもらいたいのです。
かつてセブンイレブンに来店されるお客様の年齢層は20代の若い人が
多かったのですが、今では50歳以上が最も多くなりました。
セブンイレブンに求められる便利さが変わるのも当然です。
これからのセブンイレブンに求められる『便利さとは何か』
について考えていただきたいのです。
昨年からはグループが扱う商品をネット経由で注文して、
セブンイレブンの店頭で受け取れる「オムニチャネル」にも挑戦中です。
変わり続けるコンビニの便利さを追求して、より社会インフラや
拠点としての役割を果たしていきたいと思います。」
(一部抜粋/編集しています)
ATMの数が減っていく中、2000年代にセブン銀行を設立し、
コンビニの中にATMを設置したり、共働きの世帯が増える中、
時間や手間をかけずに料理できるおいしい食品や便利な商品を
メーカーと開発し、プライベートブランドとして提供したりするなど、
成功しているセブン&アイ・ホールディングスのような大手企業でさえ、
この大きなテーマに悩みます。
ドラッカーのマネジメントの基本と原則に照らし合わせると、
「顧客にとっての価値は何か?」
という、ドラッカー5つの質問の3番目の問いになります。
わが社のトップマネジメントチームにおいて、繰り返し議論を重ね、
それなりの答えを想像していくことはできるかもしれませんが、
現実の顧客の声に勝るものはありません。
わが社で考える「顧客にとっての価値」と、
顧客が思っている「コンビニの価値」にギャップが生じて
しまっているまま計画をしていくと、双方の認識にズレが生じ、
ビジネスがうまくいかなくなってしまいかねません。
製品ではなく顧客からスタートせよ。
顧客の現実、欲求、価値からスタートをすること。
ピーター.F.ドラッカーは、そのように言っています。
井阪社長の取り組みは、まさにここからのスタートです。
原点回帰とも言えるのかもしれません。
世の中の課題は何なのか?
社会のニーズは何か?
コンビニとして、これから担うべき社会的役割は何なのか?
この変化の激しい時代、コンビニの未来の姿がどうあるべきなのか、
大きく問いかけてみるといった、思いきった取り組みだと思います。
マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、
製品とサービスを顧客に合わせ、
おのずから売れるようにすることである。
顧客と一体化することを目指すこと。
ドラッカーのマネジメントの基本と原則では、そのように言われています。
「われわれの顧客は誰か?」
毎年、その微妙な変化を捉えながら、
「顧客にとっての価値は何か?」
その問いかけを繰り返しの思考と習慣にし、理解を深めていくことは、
企業の規模を問わず、私たち経営者にとって大きな課題であります。
このテーマを掘り下げ、追求していくことにより、
イノベーションとして新たな事業が生まれたり、
新たな商品・サービスの開発につながったり、
現在の商品・サービスに改良を加えられたりと、
顧客が求めている満足へと近づいていけるのです。